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日本SRS学会について

日本SRS学会(以下、本会と略します)は、既存の医療関係者が集い研究成果を発 表するような学術集会や患者とその家族が集う患者会とも違い、以下に記すような 運営方針で活動を行なっている団体です。

本会は、医師と患者が共に対等な会員という立場にあります。 本会では、性同一性障害(以下、GIDと略します。)の患者自身が主体的に治療を受 けられるように、患者どうしが受けたい医療について話し合う機会を定期的に設け ており、例えば、GID患者自身が性再適合手術を望む人に対し、性別再適合手術(以 下、SRSと略します)を適用するべき患者であるのかを判断する基準を作ったり、 SRS前後のケアの仕方についてまとめたり、術後患者がこれから手術を受ける患者 の精神的サポートを行なっていったり、などといった活動をしていこうと考えてい ます。

このように、GID患者どうしが集まることには、以下のような様々なメリットがあ ります。

第一に、GIDというマイノリティーな精神疾患(とは言っても、統計資料では、人 口の0.1~0.3%いるとの報告もあります)を抱え、社会的な孤独に陥りやすく、精 神的に不安定になりがちな患者が、公私共に繋がり合える仲間を得ることが出来ま す。その結果、1人1人の持てる力が最大限に発揮させられた状態での手術が可能 となり、単にFCP-SRS前後の外科的治療の側面のみのフォローにとどまらず、術後 、患者が望んでいた性で前向きに生きていけるように支え合っていくことが可能に なります。

第二に、術前に医師から患者に対して一方的に説明を行なうインフォームドコンセ ントよりも、医師が関わりながらも、患者どうしが和気あいあいとした雰囲気で情 報交換をしながら、治療についての的確な知識を身に付けていくことで、1人1人 が主体的に治療に望む姿勢が自然と構築されていき、患者自身がしっかりと術後の イメージを描けた状態での執刀が可能となります。手術前にFCP-SRSに対するメリ ット・デメリット、可能な期待と手術の限界をきちんと正確に理解しておくことが 、術後、望んだ性で前向きに生きていく為には必要不可欠な大切な要素となります 。

また、本会では、GID患者の中でも、SRSに特化した形で治療方針を議論しておりま す。その根拠には、SRSがGID患者に与えることの出来る効果として、『2つの救命 』という大きな意味をもたらす唯一の治療方法であると考えているからです。 『2つの救命』とは、第一に、GIDという精神疾患を抱えた患者の中には、「自分 は出来損ないだ」とか「不完全な人間なんだ」といった、極度の自尊心の低下が見 られる患者が多くおられます。人生、誰でも皆上がり下がりの波は必ず起こるわけ ですが、そのようなGID患者にマイナスの出来事(特にGIDが原因で起こったこと) が起こったり、治療の目処が立たず、今後の人生に希望を見出だせなくなってしま った時に、鬱状態から自殺を図ってしまう患者もいます。そのような患者にSRSを 受けさせることは、まさに救命そのものだと考えています。また、第二に、自身の 望まない性で生活しているGID患者にとって、反対の性で暮らしている時間は、精 神的には、死んだも同然の時間となってしまいがちです。例えば、MtF(Male to Femele)の方は、SRSを行ない、心身ともに女性になることを望んでいます。そし て、女性の方ならきっとお分かりになられると思いますが、女性として1番輝ける 時期を、本当の女性として過ごしたいのです。したがって、適切な時期にSRSを実 施することは、患者自身が望む性での人生をスタートさせるために必要不可欠な医 療であり、患者にとって、本当の自分が生まれる瞬間となるのです。